最後のブルートレイン、北斗星乗車記(3)函館駅とED79の巻
函館駅でED79と対面
列車は函館駅に到着。あまり縁のないD形交流電機のED79とご対面するために、1号車側に移動。
多くの人は、函館駅ではED79を撮ったあと逆エンド側に移動してDD51を撮影するのでせわしないが、わたしはED79側に居残った。途中からは記念撮影の人も減り、ED79-7号機をじっくり観察することができた。
ちょんまげパンタが残念だが、貴重な国鉄型交流電気機関車のED79。寒冷地仕様だが、スノープラウ以外はつらら切りもヒサシもないので穏やかな表情だ。田端あたりでヒルネしているEF65のほうがよっぽど眉間にシワを寄せている。
メーカーズプレートには、ED79への改造を行なった「大宮工場」の楕円形の銘板が並んで取り付けられている珍しいスタイル。貴重な日本国有鉄道表記である。
このED79も、活躍は2016年3月までの残りわずかな期間である。だが、昭和40〜50年代に製造され、国鉄民営化前に廃車された多くの機関車の寿命は20年ていどだった。平成の世を四半世紀に渡り津軽海峡のヌシとして君臨しつづけたED79は幸せなカマだったということができるだろう。
国鉄時代の遺物がそこここに
先ほどの貨車以外にも、函館駅には旅情をそそる風物があふれている。
北海道名物といえば、なんといってもこの国鉄型駅名標だろう。おそらく、すべての駅名標を取り替えるには費用が掛かり過ぎるための判断なのだろうが、いまもなお全道で現役である。これを見ると「北海道にきたなあ」という実感がふつふつと湧いてくる。
都内に残っているものは広告部分が「リコー」や「ノザキのコンビーフ」などだが(笑)、北海道のものは「本場の味 サッポロビール」と旅情を感じさせる。
寝台列車の号車案内板が2つ並ぶ。ここが寝台列車最後の楽園であることを物語っている。
そうこうしているうちに、函館駅の発車メロディーが鳴り出した。初めて聴いたが、たしかに旅情をそそる素晴らしいメロディーだ。おそらく、出だしが発車ベルっぽいところがファン心理をくすぐるんだろうね。
さあ、終着駅札幌に向けて残り4時間あまりの旅路に出ようか。(つづく)
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