首都圏主要都市間表定速度ランキング2018年東京ー八王子編

首都圏主要都市間表定速度ランキング2018年東京ー八王子編

首都圏の近距離都市間輸送に焦点を当て、2都市間での区間表定速度のランキングを紹介する「首都圏主要都市間表定速度ランキング」。今回は、京王ライナーの運転開始、中央線グリーン車計画と、JR東日本と私鉄京王電鉄の競争が激化している東京ー八王子間の表定速度ランキングを紹介する。

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新宿ー八王子(中央本線・京王線)

まず、サイトの性質上、TOP画像に国鉄型車両を持って来ざるを得ず、201系の写真を貼らせていただいことをお詫びします(笑)。データは2018年3月改正の内容なのでご安心下さい。

さて、乗降人数日本一のターミナル新宿駅と、西東京の主要都市八王子間の都市間輸送は、長らく京王線特急と中央特快がライバルとして競い合ってきたが、どちらも表定速度は首都圏五方面の他線区に比べると低く、しかもともにオールロングシート車というあまり輸送の質は高くない状況だった。とくに中央線快速に至っては1970年代の設計である201系電車が4半世紀に渡って使用される状況だった。

2006年に27年ぶりの新車E233系が中央線快速に導入されると、車両性能(起動加速度・最高速度)の向上からスピードアップが可能となったが、この頃は三鷹―立川間の連続立体交差事業が実施されており、運用の都合上201系が残存していたためダイヤの見直しは2013年まで待たなくてはならなかった。

2012年12月に工事が完了すると、JR東日本は2013年3月のダイヤ改正で中央特快の増発を実施。それまでは毎時4本(中央3、青梅1)だったものを、平日は毎時5本(中央4、青梅1)、土休日は毎時6本(中央4、青梅2)と大幅な増発が実施された。

中央線連続立体交差事業工事中の武蔵小金井駅地上ホームに入線する中央快速線の主力E233系(2009年11月)
中央線連続立体交差事業工事中の武蔵小金井駅地上ホームに入線する中央快速線の主力E233系(2009年11月)

中央線の三鷹以西では快速線と緩行線が分かれていないため、中央特快=他線区の快速、快速=他線区の各駅停車に相当すると考えると、これまでの時間あたり4本は明らかにフリークエンシーで劣っていたが、ようやく他線区に肩を並べるレベルになったといえる。

特別快速が増発される一方で、当然快速は減便されたわけだが、これは多摩地域の人口減少が遠因にあることをJR東日本八王子支社も認めている。

ダイヤ改正で「中央線快速」の本数が減るワケ〜多摩地域は実は人口減で地盤沈下している!? | 通勤電車 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

この人口減少というピンチを逆手に取り、輸送の質向上を目的としたのが2023年に予定されている中央快速線へのグリーン車サービス開始であり、これに触発されたライバル京王電鉄初の有料列車「京王ライナー」の運転開始である。

もう中央線は遅くない!新宿ー八王子最速列車の表定速度は79.5km/h

中央線特急では新宿発14時のスーパーあずさが最速列車として位置づけられている。
中央線特急では新宿発14時のスーパーあずさが最速列車として位置づけられている。1日1往復のみ立川を通過し、新宿ー八王子をノンストップ、その他甲府、茅野、上諏訪にしか止まらない。(2007年11月新宿駅 E351系スーパーあずさ)

筆者の生まれ育ったエリアの路線ということもあって、熱が入ったあまり前置きが長くなってしまったが、上記が新宿ー八王子の都市間輸送をめぐる現状である。さて、肝心の表定速度はどうだろう?

前述の2013年3月ダイヤ改正では、中央線新宿ー八王子の最高速度が95km/hから100km/hへと引き上げられた。速度向上はわずか5km/hで、しかも100km/hは常磐線や総武快速線などに比べるとかなり見劣りする数字である。

距離 所要
時間
表定
速度
経由・備考 料金
スーパーあずさ
14号
37.1 28 79.5 上り最速、立川通過 984円(乗車券474円・特別料金510円)
スーパーあずさ
19号
37.1 29 76.8 下り最速、立川通過 984円(乗車券474円・特別料金510円)
成田エクスプレス8号 37.1 30 74.2 (土休日) 1,744円(乗車券474円・特別料金1,270円)
中央特快 37.1 33 67.5 (土休日) 474円
中央特快 37.1 34 65.5 (平日) 474円
京王ライナー
13号
37.9 35 65.0 (平日) 760円(乗車券360円・特別料金400円)
京王線特急 37.9 38 59.8 360円
中央ライナー
1号
37.1 41 54.3 984円(乗車券474円・特別料金510円)
成田エクスプレス50号 37.1 44 50.6 1,744円(乗車券474円・特別料金1,270円)
快速 37.1 45 49.5 (平日)八王子まで先着。土日は存在しない 474円
各駅停車 37.1 51 43.6 474円
快速 37.1 55 40.5 (平日)三鷹で特急待ち、国分寺で特快待ち 474円

結果からいえば、「もう中央線は遅くない」。スーパーあずさで1日に1往復のみ設定されている新宿ー八王子ノンストップの最速列車は、この区間の表定速度はじつに79.5km/hに達する。これは驚くべき数字で、最高速度120km/hで緩急分離されている東海道本線の特急列車「スーパービュー踊り子」の東京ー横浜間(75.1km/h)を上回る駿足ぶりである。三鷹以西は複線しかなく、かつ最高速度が20km低いという不利を跳ね返している。

余談だが、昭和53(1978)年当時の181系特急あずさは新宿ー八王子ノンストップにも関わらず37〜44分を要していた。

途中6駅に停車する中央特快ですら、表定速度は所要時間は33分、表定速度67.5km/h(休日ダイヤ)である。東海道本線普通列車東京ー横浜間の表定速度が69.1km、総武線快速東京ー千葉間の表定速度が61.9kmだから、一般的により駿足であるイメージの強い中距離電車ともはや遜色ないのだ。

ちなみに、中央線快速の料金は京王との競合があるため特定区間運賃が適用され474円。あずさ・かいじの自由席を使用した場合でも984円(乗車券474円・特別料金510円)。

中央本線は、現状快速電車にグリーン車が連結されていないが、30分ヘッドで運転されている特急の自由席がこの着席サービスを代替しており、新宿ー立川・八王子間の近距離の利用者も多い。また、普通列車グリーン車(50kmまで770円※平日)よりも特急の自由席料金(50kmまで510円)のほうが安いという逆転現象が生じている。

ライバルの京王線は最高速度110kmも線形の悪さが災い

京王線京王八王子駅。JRとは500mほど離れている。
京王線京王八王子駅。JR八王子駅とは500mほど離れている。

ライバルの京王はどうか。距離もほとんど変わらず、最高速度こそ110km/hと中央線より10km速いものの、いかんせん線形の悪さが災いしており、標準的な特急で新宿―京王八王子間38分、表定速度は59.8km/hと見劣りする結果となった。

京王線は特急の停車駅が年々増える傾向にあるのと、特急が高尾山口行きで運転される時間帯が増え、北野ー京王八王子の支線化が進んでいるのが気がかりな点だ。

京王ライナー最速列車は新宿ー京王八王子間35分で表定速度65km/h

そんな中、2018年3月に登場した新5000系による京王電鉄初の有料座席指定列車「京王ライナー」は調布を通過することで波紋を呼んだが、終点は京王八王子に設定され、京王電鉄が京王本線を重視している方針がひとまず明らかになった。

スピードは、便によって表定速度にバラツキがあり、新宿発23時の京王ライナー13号(平日ダイヤ)が最速。所要時間35分、表定速度65.0km/hとまずまず健闘しているが、京王線の歴史の中でも駿足の部類に入る。往年の初代5000系時代にも、特急はこの区間を35分で走破していた。

京王線の運賃は360円と中央線より大幅に安い。京王ライナー使用でも760円である。

中央線の快速で45分、成田エクスプレスでも44分

この区間の着席サービスの先駆けである「中央ライナー」は、夕方のラッシュ時間帯の運転ということもあり、所要時間41分、表定速度54.3kmとスピード的にはいまいちな結果となった。料金は特急あずさ・かいじと同じ984円。

平日のデータイム1時間に1本、途中1回も特急や特快に抜かれず八王子まで先着する快速が存在するが、これですら新宿ー八王子を45分で走破している。ちなみに夜の高尾行き成田エクスプレスはこの快速と1分しか所要時間が変わらないが、全車指定席のA特急料金のため1,744円かかる。

三鷹で特急に抜かれ、国分寺で特快の待ち合わせを行なうもっとも鈍足な快速だと55分かかり、表定速度は40.5km。これは最速のスーパーあずさのほぼ倍の時間を要している。

このように、複線区間に多種多様な列車がデータイムですら1時間あたり16本(特急2本、特快6本、快速8本※休日、国立以西はこれ以外に貨物列車も加わる)ひしめき合うのが中央線である。このためダイヤの乱れが起きやすく、それゆえ感覚的に「遅い」と感じられてしまうのが「ノロ央線」と揶揄される所以なのだろう。だが、ダイヤ乱れさえなければ、中央線はもはや首都圏の「通勤五方面」の他の線区より遅い路線では決してない。

東京ー八王子(中央本線)

夕方以降4本の中央線特急が東京を始発駅としている。
中央線特急は、1日4往復が東京を発着しているが、上りは午前中、下りは午後と制約がある。東京駅に停車するE257系かいじ113号。

さて、東京駅から八王子駅ではどうだろう。京王線との競合はないが、特急あずさ・かいじは1日4往復が東京駅を発着している。中央線ホームは1面2線しかないため、車内清掃からの折り返しは不可能。上りは午前中に到着し回送として折り返し、下りは回送として送り込まれわずかな時間で客扱いし、あわただしく出発する。JR東日本では、特急列車を極力東京駅に発着させたい意向だが・・・。

距離 所要
時間
表定
速度
経由 料金
かいじ113号 47.4 47 60.5 1,309円(乗車券799円・特別料金510円)
中央特快 47.4 48 59.3 799円
中央ライナー9号 47.4 48 59.3 1,309円(乗車券799円・特別料金510円)
成田エクスプレス
8号
47.4 56 50.8 山手貨物線
経由
2,069円(乗車券799円・特別料金1,270円)
土休日運転
快速 47.4 65 43.8 799円
各駅停車 47.4 71 40.1 799円

中央線の東京ー新宿間は線形が悪いため、やはり全体的な表定速度は新宿ー八王子間より低下している。最速は特急かいじ113号他の47分で、表定速度は60.5km/h。土日の中央特快もほぼ変わらず48分を要している。東京ー八王子間は特定区間運賃が適用されないため、運賃は799円と大幅にアップする。

なお、このコーナーではあちこちで登場するおなじみ「成田エクスプレス」による品川経由というルートも存在する。距離がわずかに50kmを超えるため、料金は2,069円(乗車券799円・特別料金1,270円)かかる。また遠回りのため56分を要する。

新宿ー高尾(中央本線・京王線)

また、中央線快速電車の終着駅である高尾までの間でも、中央線と京王線は完全に競合している。近年観光地として脚光を浴びている「高尾山」の玄関口ではあるが、京王線は文字通り高尾山の登山口である「高尾山口」まで直行するため、高尾山に中央線を使って行く観光客は少ない。とはいえ、ホリデー快速は高尾駅に停車し、観光需要の取り込みに配慮している。

距離 所要
時間
表定
速度
経由 料金
中央特快 42.8 40 64.2 550円
京王線特急 43.0 44 58.6 京王線経由 360円
成田エクスプレス52号 42.8 44 58.4 1,820円
(乗車券550円 特別料金1,270円)
ホリデー快速富士山1号 42.8 45 57.1 550円
ホリデー快速
ビューやまなし号
42.8 49 52.4 550円
京王線準特急 43.0 50 51.6 京王線経由 360円
中央線快速 42.8 60 42.8 550円

最速は土日の中央特快で、42.8kmを40分で走破し表定速度は64.2km/hとなかなかの駿足で550円。京王線特急も距離はほとんど変わらず、所要時間は44分、表定速度は58.6km/hだが料金は360円と安い。ほぼ互角といったところか。

ただし、京王線で高尾山口行きの特急が運転されるのは平日の昼間で、観光需要の多い土日に高尾線方面へ運転されるのは準特急だ。停車駅が多いぶん、50分を要している。

中央線方面の成田エクスプレスは、早朝・深夜に高尾発着が2往復設定されているが、これも中央線が過密なため、比較的ダイヤに余裕のある早朝・深夜しか設定できないものと思われる。吉祥寺や国分寺にも停車し、特別快速並みに停車駅が多いため、所要時間は44分を要する。料金は1,820円。

ホリデー快速は停車駅が少ないわりには快速を抜くこともあまりないので、乗っていていちばん鈍足に感じる列車ではあるが、やはり数字にも表れている。ビューやまなし号にいたっては中央特快より9分も遅い49分を要している。

以前は特急かいじで、高尾に停車する列車が1日1往復存在したが、現在はなくなってしまった。新宿ー高尾間では料金的に勝ち目がないと思われるので、千葉発のあずさなど高尾駅に停車すれば首都圏東部からの観光需要に対応すると思うのだがどうだろう。

京王電鉄では高尾山口方面への京王ライナー運転の計画を否定していないので、このルートには近い将来新たな動きがあるものと思われる。(つづく)

参考文献

2013年3月ダイヤ改正について(JR東日本八王子支社)
中央線快速「運行ダイヤ」はこうして作られる | 鉄道ジャーナル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

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恐れ入りますが、お手持ちの乗車券を拝見させていただきます。
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