最後のブルートレイン、北斗星乗車記(3)函館駅とED79の巻
北海道新幹線の開業準備に伴い、2015年8月で運転を終える寝台特急北斗星。運転終了に伴い、1958年の20系「あさかぜ」以降57年に渡って運転されてきた「ブルートレイン」の歴史に幕が降りる。8月9日から10日にかけて、最初で最後の、北斗星に乗車する機会に恵まれた。最後のブルートレインの風景を点描したいと思う。第3回は、いよいよ青函トンネルを抜けて北海道へ!そして函館へ!
前回の記事はこちら
いよいよ北海道だ!函館だ!
列車が青森県内に入ったあたりで就寝。青函トンネルは夢うつつであったが、ウヮワワヮワン…という列車の走行音がトンネルに反響するこだまが延々と鳴り響いていた。青函トンネルを通過するときの浮遊感をどこかで語っている方がいたが、たしかに独特の感覚であった。
外が明るくなってきたので目を覚ますと、列車はすでに高規格の津軽海峡線ではなく、海岸線に沿って縫うように敷かれた江差線のカーブを走っていた。
おはよう放送が流れると、周りの乗客たちも次第に起きだした。やがて、車内放送があとすこしで函館に到着することを告げる。いよいよ函館だ!
この函館に到着するときの高揚感は、東山トンネルを抜けて京都に到着するとき、関門トンネルを抜けて九州にはいるときに匹敵するものがある。青函連絡船はなくなっても、「はるばる来たぜ函館」と歌われただけのことはある。
列車が次第に速度を落とし、函館駅構内の複雑なポイントを通過するジョイント音が車内に響く。右手に函館運輸所が見えてきた。DD51もゴロゴロしている。やはり車両基地が併設されている地上駅のターミナルはいい(サイトのコンセプト上、基本的に国鉄色の車両以外あまり写真に載せないようにしているのだが、ここは勘弁いただきたい)。
いまや1両しか現存しない30t 積ボギー有蓋車ワキ5000の姿も遠目に見える。余談だが、秩父鉄道三峰口駅に保存されているワキ800という貨車も同型だといま調べていてわかった。三峰口駅には何度も行っているが、写真は一枚も撮っていない。今度撮らなければ…。これだから貨車道は奥が深い。
ホキ800もたくさん止まっている。車両自体は都内でも見かけるので珍しくないが、「函」と所属表記が大書きされているのはJR北海道ならでは。書体は異なるが、国鉄テイストを漂わせていて嬉しい。
四国から来たという同じ寝台の若者が、「あんな貨車見たことないですよ」と驚いていたが、たしかに四国では全廃されたはずだ。
この記事にコメントする