首都圏主要都市間表定速度ランキング2018年東京ー横浜編
首都圏の近距離都市間輸送に焦点を当て、「列車の始発から終点」ではなく、2都市間での区間表定速度のランキングをおもな線区で比べてみた。すると、意外なスピード列車が浮かび上がってきた。果たして、首都圏のスピード列車ナンバーワンは?
首都圏主要都市間表定速度ランキング2018年東京ー大宮編はこちら
首都圏主要都市間表定速度ランキング2018年東京ー八王子編はこちら
首都圏主要都市間表定速度ランキング2018年東京ー千葉・成田空港編はこちら
首都圏主要都市間表定速度ランキング2018年新宿ー多摩編はこちら
2018年春、首都圏鉄道各社のダイヤ改正は、小田急線の複々線化の完成による大幅なスピードアップや、京王線で初の有料着席列車「京王ライナー」の運転開始などのトピックが相次いだ。これまで「輸送量」優先の整備が進んできた首都圏でも、「輸送の質」向上へのシフトが近年顕著になってきている。
そこで、首都圏の近距離都市間輸送に焦点を当て、「列車の始発から終点」ではなく、2都市間での区間表定速度のランキングをおもな線区で比べてみた。
なお、以下の点に留意されたい。
・表定速度ランキングなので乗り換えによる行程は含まない
・JRと私鉄の競合がある場合、新宿駅と西武新宿駅、川越駅と本川越駅など、徒歩圏内に両社のターミナル駅が存在している場合のみ掲載した。従って東京都内ー成田空港間の都心側のようにターミナル駅が近接していない場合は比較不可能として、ランキングの対象から外した。
・表定速度ランキングなので、どうしても日中のデータイムの列車中心となり、通勤時間帯の一般的な所要時間とは異なることを注意されたい。
・秒単位は切り捨て
また、取り上げる列車や区間は筆者の独断に依ったので、この列車のほうが速い、という指摘についてはコメント欄から指摘をお願いしたい(メールアドレスの入力が求められますが、べつにダミーでも投稿できます)。
東京ー横浜(東海道本線・横須賀線)
まずは、言わずと知れた日本最大の「京浜都市間」を結ぶ東京駅ー横浜駅の表定速度ランキング。広義の京浜間の輸送ではJR、東急東横線、京急本線が競合しているが、ここはあくまで2駅間のランキングなので競合路線はなし。
東京ー横浜 | 距離 | 所要 時間 |
表定 速度 |
経由 |
スーパービュー踊り子7号 | 28.8 | 23 | 75.1 | |
快速アクティー3529E | 28.8 | 24 | 72.0 | |
東海道本線普通1555E | 28.8 | 25 | 69.1 | |
成田エクスプレス10号 | 31.7 | 28 | 67.9 | 品鶴線経由 |
横須賀線1073S | 31.7 | 32 | 63.4 | 品鶴線経由 |
最速は途中無停車の特急スーパービュー踊り子が23分。品川、川崎停車の踊り子でも時間は変わらないので、まだまだ余裕時間のあるダイヤのようだ。ちなみに、サンライズ瀬戸・出雲も同様だ。
面白いのが快速アクティーで、通過駅はないものの普通列車より1分速い。
距離が3km長い品鶴線経由の列車は距離のビハインドを補うべく、西大井以南では120km/hでかっ飛ばしているが、それでも分は悪く、成田エクスプレスでも28分を要している。表定速度も60km台にとどまっている。
品川ー横浜(東海道本線・横須賀線・京急本線)
東海道本線・横須賀線ともに東京ー品川間が表定速度を押し下げているのと、東海道本線の最大のライバル・京浜急行との比較を行なうために品川ー横浜間でのランキングも試みた。
品川ー横浜 | 距離 | 所要 時間 |
表定 速度 |
経由 |
スーパービュー踊り子5号 | 22.0 | 15 | 88.0 | |
快速アクティー3529E | 22.0 | 16 | 82.5 | |
東海道本線普通1867E | 22.0 | 16 | 82.5 | |
踊り子115号 | 22.0 | 16 | 82.5 | |
京急本線快特 | 22.2 | 17 | 78.4 | 京急本線経由 |
成田エクスプレス16号 | 24.9 | 21 | 71.1 | 品鶴線経由 |
横須賀線1055S | 24.9 | 23 | 65.0 | 品鶴線経由 |
やはりいちばん速いのは特急のスーパービュー踊り子で、品川ー横浜間を15分で駆け抜け、表定速度も実に88km/h。とはいえ、川崎停車の快速アクティーや普通列車と1分差であることを考えると、まだ余裕がありそうだ。ただし、実際に乗るとなると料金は1,758円(乗車券288円 特別料金1,470円)かかる。
快速アクティーや普通列車も、この区間での表定速度は80km台に乗せている。
京急の快特も頑張ってはいるが、所要時間は17分で2分差とはいえ、表定速度は78.4kmとかなり見劣りする。さらに料金も10円ではあるがJRのほうが安い。
京急のこれ以上のスピードアップと値下げがないかぎり、JRがさらに東海道本線を関西の新快速並みのスピードアップに取り組むことはないように思われる。
新宿ー横浜(湘南新宿ライン・東急東横線)
続いて、副都心の新宿から横浜へのランキング。
新宿ー横浜 | 距離 | 所要 時間 |
表定 速度 |
経由 |
湘南新宿ライン特別快速 | 35.5 | 29 | 73.4 | 山手貨物線・品鶴線経由 |
湘南新宿ライン普通 | 35.5 | 33 | 64.5 | 山手貨物線・品鶴線経由 |
副都心線Fライナー | 27.8 | 34 | 49.1 | 副都心線・東急東横線経由 |
2001年の「湘南新宿ライン」運転開始で勃発したJR VS 東急のバトルは、2013年の副都心線との直通運転を機に池袋・新宿・渋谷↔横浜間で全面的に競合する構図となり、2016年の「Fライナー」運転開始で新しいフェーズに突入した。
距離では東急東横線が27.8kmと最短だが、所要時間では7.7kmのビハインドを補ってなお湘南新宿ラインが勝る。なお、湘南新宿ライン南行きの新宿発時刻は毎時ほぼ00分、15分、30分、45分に揃えられており、この区間をJRが重要視していることを伺わせる。
Fライナーも所要時間的には互角ではあるが、表定速度では49.1km/hとかなり物足りない数字になった。
なお、副都心線Fライナーは新宿三丁目駅が起点。副都心線・東横線ルートは池袋、渋谷、横浜のいずれもホームが地中深く、新宿三丁目駅も地下通路で直結しているとはいえ新宿駅からは若干距離があり、乗車までのアクセス性は良いとはいえない。湘南新宿ラインの渋谷駅ホームが移設されると、さらにJRが優位になるように思うがどうだろう。
料金はJRがが550円、副都心線・東急東横線経由が432円と若干東急が優位。
(つづく)
この記事にコメントする