秩父鉄道C58-363の鳳凰飾りほか、期間限定デフいろいろ
秩父鉄道で運行しているSL C58-363の運行が今年2017年で30周年を迎えた。これを記念し、6月末まで御召し列車牽引機をイメージした鳳凰マークがデフレクターに取り付けられたほか、連結器まわりに銀差しの特別装飾が施された。これまでC58-363に施された期間限定のデフレクターを一挙に紹介したい。
2017年春・お召し仕様(鳳凰飾り&銀差し)
早いもので、昭和63年に開始された秩父鉄道の蒸気機関車C58の運転は、今年で30周年を迎えることとなった。C58-363の国鉄での現役時代が1944年〜1972年の28年であるから、それよりも動態復元後の活躍のほうが長いということになる。
同時期に復活した北海道のC62-3号機など、諸般の事情で動態復元を断念した例も多い。これからもC58-363には末永く走り続けてほしいものだ。
さて、この鳳凰飾りは、梅小路蒸気機関車館で保存されているC58のトップナンバー1号機の装飾を模したものだと認識されているようだが、じつはC58-1号機には御召し列車牽引機の実績はなく、梅小路での保存後に施された事後装飾のようだ。
鈴木信雄さんの運営する「遠い汽笛」のお召し列車牽引蒸機のイラストによれば、昭和31(1956)年10月の「兵庫国体」お召し列車牽引の栄誉に浴したC59-108の装飾がいちばん近いように思える。ちなみに、この列車は東海道本線で最後となる蒸機牽引の御召し列車であった。
三峰口駅の突っ込み線にて。銀色に塗られた自動連結器と解放テコが眩しい。
ちなみに、5月21日(日)の1日だけは、形式なしの赤プレートが掲出されたが、その日は都合が合わず訪れることができなかった。鳳凰飾りの最終日にギリギリ間に合ってよかった。
2013年春・後藤工デフ(G-2タイプ切取式除煙板)
この御召し装飾は、C58-363に施された久々の特別装飾であった。私の記憶が正しければ、4年前、2013年の春に装着されたJNRマーク入りの後藤デフ以来のはずだ。
このデフレクターは、鳥取県米子市の国鉄後藤工場で考案されたデフレクター。昭和32(1957)年に米子機関区所属のC58-385号機に装着されたが、同機はやがて釧路機関区へと転属。デフレクターはC58-33号機に装着されたのち、鉄道百年を記念してステンレスのJNRマークが追加された、いわゆる「ネタ釜」仕様。
平成の世に、蒸機に特大の国鉄マークが蘇るとは誰が想像しただろうか。オールドファンも、「長く生きていればいいこともあるものだ」と感涙にむせんだに違いない。
形式なしナンバープレート掲出で、かつヘッドマークなしの運転日を選んで行ったはずだ。ふだん着の蒸機の雰囲気を感じさせる。
2010年秋・門鉄デフK‐9タイプ
そして、2010年の秋に取り付けられたのが、かの門司鉄道管理局仕様の「門鉄デフ」。しかも、先端が斜めにカットされたK‐9タイプというもので、取り付けられた蒸機はわずか7両。C58では112号機に取り付けられた実績があり、それを模した形になる。
通常の門鉄デフは、どこかノンビリした印象を受けるのだが、先端が切り欠きとなっているためにシャープで軽快なスピード感を感じさせる。
通常タイプのデフレクター
なんだかんだいっても、通常タイプのデフレクターという「ふだん着」がいちばん落ち着くという向きも多かろう。しかし、秩父鉄道のC58はヘッドマークの掲出日が非常に多いのと(いや、悪趣味なカンなしで運転してくれる日があるだけ有り難いと思わなければ)、形式が入っていないタイプのナンバープレートを掲出してくれる日は数えるほどしかないので、撮影に赴かれる際には、秩父鉄道ニュース(ホームページで公開されている)をよく確認されたい。
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