常磐線のヌシ、EF80-36

常磐線のヌシ、EF80-36

いよいよ、今年も恒例の大宮車両センター公開が来週に迫ってきた。

何といっても注目なのは、車籍は抹消したものの、大宮車両センターに秘蔵されている機関車の展示だ。国鉄型の、それもメジャーとはいえない機関車が白日の下で見られるという意味では、鉄道博物館なんかよりも価値は高い(と思っている)。毎年展示車両は異なるので、数年に一度しかお目にかかれない車両もある。

今日は、2013年の大宮車両センター公開で展示された常磐線のヌシ、EF80-36号機を紹介したい。

我が国初の量産型交直両用電機、EF80

EF80は、常磐線の電化に伴ない、昭和37(1962)年から昭和42(1967)年にかけて63両が製造された交直両用電気機関車だ。有り体にいえば、C62を駆逐したということになる。あくまで東日本、常磐線での運用に特化したため、三電源方式ではなく、交流は20,000V50Hzのみの対応となっている。これは現在常磐線を走るE531系、E657系、そして651系と同様の仕様だ。ちなみにフレッシュひたちで使用されていたE653系と「なごみ」ことE655系は、西日本エリアへの乗り入れも考慮し、民営化以後の交直流電車としては珍しく三電源方式となっている。

常磐線で旅客・貨物列車の両方に使用されたが、やがて電気機関車が余剰となると後継のEF81に置き換えられ、1986年までには全車が廃車され、民営化以後に継承された車両はない。活躍期間はわずか24年で、EF81が今年でデビューからすでに48年が経過してもまだ現役なのとは対照的だ。

常磐線上野口で旧客の鈍行を牽いたり、どちらかというと地味だった存在にも関わらず、2両が静態保存されている。1両は碓氷峠鉄道文化むらに保存されているEF80-63で、もう1両がきょう紹介するEF80-36だ。

かつての僚友EF81と並ぶEF80-36

かつての僚友EF81と並ぶEF80-36

EF80の外観の特徴は、何といっても顔長のフェイスであろう。車体裾の縦寸法はEF81とくらべて数センチ長い程度だが、正面の踏み板の位置が高いのと、スカートが短いこともあって、かなり顔が長く見える。

丸みを帯びたスカートは、ED75初期型、ED73など昭和30年代の黎明期の新型電機に共通するデザインだ。このような手間をかけた曲線デザインは、時代を下るについて次第に見られなくなっていく。

EF80の顔は、お世辞にもハンサムとはいえないかもしれないが、端正なEF81とは異なり、どこか温かみを感じさせるデザインとなっている。

一次型のDT128形中間台車

一次型のDT128形中間台車。昭和58年10月大宮工場全検出場。

このEF80-36号機は一次型と呼ばれる初期グループに属する。台車の引張力伝達方式は心皿方式で、しかもカルダン駆動と、電気機関車としては比較的珍しい形式だ。揺れ枕の曲線デザインが美しい。また、砂箱は台車枠にマウントされる形状となり目立たない。そう考えるとイロイロと美しさに配慮したデザインだなあ、と思う。

だが、結局この台車はピッチングが問題となり、二次型以降は引張力伝達方式のDT135形(両端)・DT136形(中間)へと変更された。DT135形台車の引っ張り棒は外観上の大きな特徴となっている。

なお、上の写真で分かる通り、製造銘板は取り外されているのが寂しい。

EF80の交直切替器をもう一枚

EF80屋根上の特別高圧機器

屋根上は、交直流機関車の特徴である複雑な特別高圧機器が外観上の大きな特徴となっている。EF81では、耐雪耐寒構造のため、露出する配線類が最小限に留められてしまっているため、外観的な面白みはあまりない。屋根上のディテールが魅力的なのは、電気機関車ならEF80、電車なら485系0番台だろう。

EF80屋根上。巨大な主抵抗器冷却気の排気口が目立つ。

巨大な主抵抗器冷却気の排気口が目立つ。

特別高圧機器もさることながら、ウサギの耳のようにシンメトリーに配置された主抵抗器の熱排気口もEF80の特徴だ。

EF80の2エンド側運転台。

EF80の2エンド側運転台。

ふたたび運転台まわり。一次型の特徴である埋込み式の前照灯。そして内はめ式のテールライト、運転席用の通風口という1960年代の電気機関車のディテールポイントがよくわかる。そして何といっても、白Hゴムがそのままに残っている。区名札は外されており、ビス穴だけが見える。

EF80-36号機非公式側を1エンド寄りから。

EF80-36号機非公式側を1エンド寄りから。

今にもパンタを上げて走り出しそうなEF80。ローズピンクに塗り直されたEF81-81との並びも見てみたい。

このEF80以外にも、大宮車両センターには、DD13-1、EF60-510、EF58‐93(青大将色)、ED62-17、301系電車など、さまざまな車両が秘蔵されており、JR東日本の底力と懐を感じさせてくれる。

※EF60-510、EF58‐93(青大将色)は2016年11月に解体されました。

果たして今年は何が展示されるのだろうか? 個人的には飯田線向けD型機ED62をそろそろ見てみたい気がするのだが・・・。

本日はご乗車まことに有難う御座います。
恐れ入りますが、お手持ちの乗車券を拝見させていただきます。
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  1. by 風旅記

    こんにちは。
    お写真、楽しませて頂きました。
    常磐線が交流電化され、客車も貨車も多くが行き交った時代、蒸気機関車の運用を置き換えながらも一時期は、蒸機・電機が共に運用されて、魅力的な鉄道の風景が広がっていたのでしょうね。
    当時の機関区なども、見てみたかったと感じます。
    今ではステンレスの綺麗な電車が行き交いますが、本当に時代が変わったのだと思います。
    できることならば、再度本線を走る姿を見てみたいものです。
    今後とも、宜しくお願い致します。
    風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/

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